居心地のよい健康的な家をつくります

建物に使う材料については、住まい手の健康を第一に考えて選定しています。
昨今ごく普通に使われている建材は化学物質をたくさん使用してつくられています。そのためにアレルギーなど健康を害してしまう方が多いという現実があります。
ヒトに一番近い部分の材料なのでより安全なものを採用するようにしています。安全と合わせてなるべく自然素材を使いたいと考えています。人工的な建材よりも長年の使用に耐え、使えば使うほど味が出てくる材料が多いからです。住めば住むほど住まい手に馴染む家であってほしいと願っています。

そしてかっこいい建物というのはもちろんですが、それよりも心落ち着く家、居心地のよい家をつくることを一番に考えています。居心地のよい家をつくるということは意外に難しいものです。プランの内部的なもの、近隣との関わりかたなど多岐に渡る事柄を調整しないと成り立ちません。
住まいの基本としてここと落ち着く、居心地の良さは追求していきたいと考えています。


長持ちする家をつくります(構造、間取り、生活)

建物で一番大切な構造は特にしっかりとつくりたいと思います。最低50年は持つことを前提にして、材料や接合部の選定を決めています。そしてなるべく柱梁の骨組みは隠さないで使います。隠れてしまうところはどうしても丁寧な仕事の意識が薄くなってしまう傾向にあるからです。
意匠的にも柱梁が見えるインテリアは見ごたえあるので一石二鳥になります。
それと家族は変化していきます。子供は成長し、両親との同居なども考えられるかもしれません。ぜんざいだけにとらわれて間取りを決めてしまうと後々対応できなくなる恐れがあります。個室を増やして生活を限定してしまうより、おおらかに大きな空間をつくっておく方が後々の対応が容易になります。

そのことは構造の面でも関係があり、おおらかな生活のできる間取りにより架構単純になり、より強度のある構造体をつくることができます。
単純な構造は大きな部材をしっかり組むことで強度を上げることができます。

 


建主さんの希望をじっくり聞き、実現させます

最初のプラン提案から基本設計を進めていく過程において、打ち合わせで建主さんの「思い」を聞く毎に微調整を行なっていきながら計画をまとめていきます。

それは、私と建主さんはお互いのことを何もわからないところから初めていくわけですから、じっくり時間をかけてお互いの「思い」を共有していかなければよい家は作ることができないと考えているからです。

住まいを建てるときには素早く建てたいと思うことがたくさんありますが建てた後何十年も住み続ける為にも可能な限り「思い」の共有の時間を取りたいと考えています。

 


夏涼しく冬暖かく住むことは生活の基本

夏涼しく冬暖かく暮らすことは快適に住まうことの基本だと考えています。
建物の断熱性能を向上させることを基本として、なるべく機械の頼らないで自然エネルギーを有効に利用した方法でいろいろな工夫を行なっていきたいと思っています。
日当たりや風通しなどのコントロールは昔から言われているのですが、最近の住宅にはあまり採用されていません。
最低限これを確実に取り入れて、家の中に溜め込めるようにしておけば住空間に健やかな気候をもたらせてくれるはずです。

 


太陽の恵み

これからのエネルギーを考えたときに真っ先にあがってくるのが太陽エネルギーです。太陽というと太陽光発電が頭に浮かんできますがそれだけではありません。太陽熱としての利用です。
日本の太平洋沿岸地域の冬はかなり日射が豊富で暖房に利用するには適当です。
太陽熱で高温を得るのはかなり大変なようですが、暖房に必要な室温は18℃程度なので比較的、簡単にまかなうことができます。日射光を室内に取り込み蓄熱しておき断熱を強化してしまえば成り立ってしまうのです。
もちろん曇りのときもありますから補助的な熱源機は必要です。
こんな家がパッシブソーラーハウスと呼ばれています。

 


通風のコントロール(吹抜け、換気窓、北側の地窓など)

夏のことを考えた時に建物の中に通風計画をしっかり考えるとだいぶ体感温度が下がり、居心地が良くなります。地域により違いますが、東京周辺では夏に南南東の風が吹くことが多いのでプランを南北に開放させて風を通すのです。
それができなければ断面的に風を通すことも効果があります。
そして暖かい空気は上へ行きますから吹抜けを利用して建物の一番高いところで排熱用の開口部があると昼は熱気が抜け、夜には冷気が降りてきて室温をどんどん下げてくれます。
また建物の北側は日射がないのでここにある冷たい空気を地窓のように部屋の低いところから取り入れます。
外部の樹木の間を通り抜けたり、日陰を通ってくる風はより効果がありますから夏はいろいろな手段を複合的に取り入れると一層効果があります。

 


熱容量

熱容量とは、簡単にいうとその材料の熱を溜め込む大きさのことです。水やコンクリート、レンガが代表的な熱容量の大きな材料です。木造の建物は蓄熱にはあまり向いているとは言えません。蓄熱するためには熱容量の大きい材料を建物内部に取り入れることが必要になってきます。

私が採用しているのはイゼナアクアレイヤーというもので床板の下に水の入った袋を敷き詰めたものです。床に日射光が当たると蓄熱してくれますし、その下にごく低温の温水を回すこともできるので床暖房ということにもなります。これの良いところは室温18℃、床表面温度25℃なので暖房していることを忘れてしまうほど自然な感じなのです。この暖房間はヤミツキになります。
熱容量の利用は夏の蓄冷にも効果があるので、これからもどんどん注目したい手法です。

 


調湿について

日本の夏は高温多湿で近年は亜熱帯気候に近くなっています。
そのために夏の季節を快適に過ごそうとすると気には温度を下げるだけではなく湿度を下げて体感温度を下げることが大切になります。
そのためには住まいの建材にはなるべく調湿性のあるものを使うことが重要です。構造材には木材を使いますがなるべく目に見えるように。
それ以外に仕上材料にも木材、土壁など。
そして屋根や壁、床の中にも入れてしまう断熱材もセルロースファイバーという新聞紙をほぐしたものをつめてしまい、通気性のある壁紙で仕上げるとかなりの調湿性能を持たせることができます。
その他にも窓を閉めたときに家中をくまなく換気できるシステムも有効です。

 


構造計算について

地震に強い建物というとどんな建物が思い浮かぶでしょうか?
鉄筋コンクリート造、鉄骨造など。
確かに鉄筋コンクリート造は強固に地震に耐えます。
鉄骨造は柔らかい構造で地震の力を逃がしてくれます。
しかし重要なことはどちらもしっかりと構造計算をしてそれに基づいてつくられているということです。

この当たり前のことが木造住宅では行われていません。
法規で義務付けがされていないために行われていないのです。

2階建て以下の木造住宅の構造は壁量計算といって筋違などの耐力壁の量やバランス、金物のチェックのみで計算が終了します。
力のかかり方などを検討して梁の太さを決めているわけではないのです。
実際はプレカット工場の担当者が経験と勘で梁サイズを決めていきます。

したがって90%程度の木造住宅はしっかりとした構造チェックがされていないということになります。

私の事務所では木造の建物でもきちんと構造計算を行なって根拠のある構造設計を行なっています。

これから先、大地震が多くなると予想されていて実際に地震による被害も増えています。
そんな時代に信頼性のあるしっかりとした住まいを設計し供給していきたいと考えながら日々を過ごしています。